
「この先、この子はどうなっていくのだろう?」
「最期の時が近づいているのかもしれない…私に、何ができるだろうか?」
「どうか、苦しまずに、安らかに過ごしてほしい」
愛犬の「老衰」と向き合うことは、飼い主様にとって、非常につらく、そしてデリケートな時間です。
この記事では、そんな飼い主様の心に寄り添いながら、犬の老衰とはどのようなものなのか、その前兆や症状、そして、愛犬が穏やかな最期を迎えるために、ご家族ができる具体的な対処法や、心の持ち方について、一つひとつ丁寧に解説していきます。
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犬の平均寿命は何歳くらい?
一般社団法人ペットフード協会が発表した「2023年(令和5年)全国犬猫飼育実態調査」によると、犬全体の平均寿命は14.62歳でした。
しかし、これはあくまで全体の平均であり、犬の寿命は、その体の大きさによって、大きく異なる傾向があります。
- 小型犬(超小型犬含む)の平均寿命:15.15歳
- 中型犬・大型犬の平均寿命:13.56歳
一般的に、体の小さな犬種の方が、大きな犬種よりも長生きする傾向にあります。チワワやトイ・プードルといった小型犬では、20歳近くまで長生きする子も珍しくありません。 ご自身の愛犬が、今、人間でいうと何歳くらいなのか、そのライフステージを把握しておくことが、今後のケアを考える上での第一歩となります。
もちろん、個体差や犬種、生活環境によって寿命は様々です。大切なのは、平均寿命という数字に一喜一憂するのではなく、目の前にいる愛犬の小さな変化に、愛情を持って気づいてあげることです。
犬の老衰の前兆とは
犬の老衰が進み、お別れの時が近づいてくると、体にはいくつかの特徴的な「前兆」が現れるようになります。
これは、命の灯火が、静かに消えようとしているサインです。
そのサインを知っておくことで、飼い主様も心の準備ができ、より穏やかに、その時に向き合うことができます。
呼吸が荒くなる
命の終わりに近づくと、呼吸に変化が見られるようになります。
心肺機能が低下するため、浅く、速い呼吸になったり、逆に、深く、ゆっくりとした呼吸になったりと、リズムが不規則になります。
時には、呼吸が数秒間止まった後、あえぐように息を吸う「チェーンストークス呼吸」が見られることもあります。
これは、非常に苦しそうに見えるかもしれませんが、犬自身は、意識が朦朧としているため、必ずしも苦痛を感じているわけではない、といわれています。
食欲が減る
大好きだったご飯やおやつに、全く興味を示さなくなる。これも、多くの犬に見られる老衰のサインです。
内臓機能が低下し、食べ物を消化・吸収する力が弱まってくるため、自然と食欲がなくなっていきます。無理に食べさせようとすると、かえって嘔吐などを引き起こし、愛犬を苦しめてしまうこともあります。
水さえも飲まなくなった場合は、スポイトや、脱脂綿に水を含ませて、口元を湿らせてあげる程度に留めましょう。
反応が鈍くなる
飼い主様の呼びかけや、物音に対して、反応が薄くなったり、全く反応しなくなったりします。
視力や聴力が低下していることに加え、意識レベルそのものが、徐々に低下している状態です。意識が朦朧とし、どこか一点を、ぼーっと見つめているような時間が増えてきます。これは、犬が、自分の内なる世界へと、静かに入っていこうとしている過程なのかもしれません
体温が低くなる
体の末端、特に足先や耳、尻尾などを触ってみて、いつもより冷たいと感じるようであれば、注意が必要です。
心臓の機能が弱まり、全身に血液を送り出す力が低下しているため、血行が悪くなり、体温が下がってきます。ぐったりとして動かず、体が冷たくなってきている場合は、お別れの時が、すぐそこに近づいているサインかもしれません。
毛布などで、優しく体を温めてあげましょう。
耳が遠くなる
聴力の低下も、老化の顕著なサインです。以前は、玄関のチャイムや、飼い主様の足音に、すぐに気づいて駆け寄ってきていたのに、最近は、大きな音にも反応しなくなった、ということはありませんか。
後ろから声をかけても、全く気づかない場合は、耳が遠くなっている可能性が高いです。驚かせないように、視界に入ってから、優しく体に触れて、合図を送ってあげるような工夫が必要です。
犬の老衰の症状とは
お別れの直前の「前兆」だけでなく、より長期的なスパンで現れる「老化の症状」についても、理解しておきましょう。
細胞の老化が始まる
犬も人間と同じように、年齢を重ねることで、全身の細胞が老化していきます。細胞の再生能力が落ち、免疫力も低下するため、若い頃にはすぐに治っていたような、小さな怪我や病気が、治りにくくなったり、様々な病気にかかりやすくなったりします。
被毛のツヤがなくなって、パサパサになったり、白髪が増えたりするのも、この細胞の老化の表れです。
口臭がきつくなる
年齢と共に、歯周病が進行しやすくなるため、口臭が以前よりもきつくなった、と感じることがあります。
歯周病は、単に口の中だけの問題に留まらず、その菌が血流に乗って、心臓や腎臓といった、全身の臓器に悪影響を及ぼす可能性も指摘されています。シニア期に入ったら、より一層、丁寧な口腔ケアを心がけることが、健康寿命を延ばす鍵となります。
睡眠時間が長くなる
若い頃は、一日中遊びまわっていた愛犬も、シニア期に入ると、寝ている時間が、明らかに長くなります。これは、体力が低下し、回復により多くの時間が必要になるための、自然な生理現象です。
一日の大半を、うとうとと微睡んで過ごすようになります。無理に起こしたりせず、静かで、安心できる寝床を用意し、穏やかな眠りの時間を、邪魔しないように見守ってあげることが大切です。
愛犬に老衰の症状がみられたときの対処法は?
愛犬に、こうした老いのサインが見られ始めたとき、飼い主様として、何をしてあげられるのでしょうか。
大切なのは、特別な医療ではなく、日々の暮らしの中での、細やかで、愛情のこもったケアです。
愛犬の身体を清潔に保つ
寝たきりの状態になると、自分自身で体の向きを変えたり、排泄のコントロールをしたりすることが、難しくなります。おむつを着用させる場合は、こまめに交換し、お尻周りを、湿らせたタオルなどで優しく拭いてあげることで、皮膚の炎症(おむつかぶれ)を防ぎます。
また、定期的に、固く絞った蒸しタオルで全身を拭いてあげる「清拭(せいしき)」を行うことで、体を清潔に保ち、血行を促進する効果もあります。
床ずれ予防の体位入れ替え
長時間、同じ姿勢で寝たきりの状態が続くと、体の同じ場所に圧力がかかり続け、その部分の血行が悪くなって、皮膚や組織が壊死してしまう「床ずれ(褥瘡)」が発生しやすくなります。
床ずれは、一度できてしまうと治りにくく、愛犬に大きな苦痛を与えます。 これを予防するために、2~3時間おきに、体の向きを優しく変えてあげる「体位変換」が非常に重要になります。
また、体圧を分散させるための、低反発のマットや、クッションなどを活用するのも、効果的な方法です。
スキンシップを取る時間を増やす
老衰が進み、目や耳が不自由になっても、飼い主様の温かい「肌のぬくもり」を感じることは、愛犬にとって、何よりの安心感に繋がります。これまで以上に、優しく体に触れ、マッサージをしてあげる時間を、大切にしてください。
撫でられることで、血行が良くなるだけでなく、愛情ホルモンとも呼ばれる「オキシトシン」が分泌され、犬も人間も、共にリラックスし、穏やかな気持ちになれることが、科学的にも証明されています。
病院に連れていくかを決める
愛犬が、明らかに苦しそうな様子を見せたとき、「病院に連れて行って、延命治療を受けさせるべきか」、それとも「住み慣れた自宅で、自然な形で、穏やかに看取るべきか」。
これは、飼い主様にとって、最もつらく、そして重い決断です。 そこに、絶対的な正解はありません。延命治療が、必ずしも愛犬にとっての幸せとは限らない場合もあります。
大切なのは、ご家族で十分に話し合い、「自分たちは、この子を、どのように送り出してあげたいのか」という、看取り方に関する意思を、あらかじめ共有しておくことです。その決断が、獣医師とのコミュニケーションを、よりスムーズなものにします。
気持ちに整理をつける
愛犬の最期が近づくにつれて、飼い主様の心は、悲しみや、不安、そして「もっと何かしてあげられたのではないか」という後悔の念で、いっぱいになるかもしれません。
しかし、その飼い主様の不安な気持ちは、愛犬にも敏感に伝わってしまいます。 愛犬が、安心して旅立つためには、まず、飼い主様自身が、その「死」を、生命あるものの、自然な過程として、受け入れる心の準備をすることが大切です。
これまでの、たくさんの幸せな思い出に感謝し、穏やかな気持ちで、その時を迎えるための、心の整理を、少しずつ始めていきましょう。
老衰期の愛犬に寄り添うための行動
愛犬との、残り少ない、かけがえのない時間。その一日一日を、どのように過ごせば良いのでしょうか。
優しい言葉や感謝の言葉をかける
耳が遠くなっていても、飼い主様の声のトーンや、愛情のこもった響きは、必ず愛犬の心に届いています。
「大丈夫だよ、そばにいるからね」 「うちの子になってくれて、本当にありがとう」 「大好きだよ」 といった、たくさんの優しい言葉、そして感謝の言葉を、毎日、何度も、語りかけてあげてください。
その声が、愛犬の不安を和らげ、穏やかな気持ちにさせてくれる、何よりの薬となります。
笑顔で接する
愛犬は、飼い主様の表情を、非常によく見ています。飼い主様が、悲しい顔や、不安な顔をしていると、犬もそれを敏感に察知し、不安になってしまいます。 つらい気持ちは、もちろんあるでしょう。しかし、愛犬の前では、できる限り、いつものように、にこやかな笑顔で接してあげることを、心がけてください。飼い主様の穏やかな笑顔が、愛犬に「ボクは、大丈夫なんだ」「安心して、ここにいて良いんだ」という、何よりの安らぎを与えるのです。
身体を優しくなでてあげる
言葉や表情だけでなく、直接的な「触れ合い」も、愛情を伝える、非常に重要なコミュニケーションです。寝たきりの状態でも、飼い主様の温かい手が、体に触れていることを、常に感じさせてあげましょう。 背中や、お腹、頭などを、ゆっくりと、優しく、マッサージするように撫でてあげてください。そのぬくもりを通じて、「ずっと、そばにいるよ」という、言葉以上のメッセージが、愛犬の心と体に、深く、そして温かく、伝わっていくはずです。
最期の瞬間まで愛情を注ぐことが大事
今回は、大切な家族である愛犬の「老衰」について、その兆候から、飼い主様ができる具体的なケア、そして最期の時を穏やかに過ごすための、寄り添い方までを、詳しく解説しました。
愛犬の老いと向き合い、やがて訪れる「死」を受け入れることは、飼い主様にとって、言葉では言い表せないほど、つらく、悲しい経験です。 しかし、老衰は、病気ではありません。それは、この世に生を受けた、全ての命が、いつか必ずたどる、ごく自然な、生命の環の一部なのです。
大切なのは、その避けられないお別れの瞬間まで、後悔することなく、深い愛情を注ぎ続けることです。
これまでの、たくさんの幸せな時間に、心からの「ありがとう」を伝え、そして、最期の瞬間まで、優しく、温かく、見守ってあげること。
それこそが、飼い主として、愛犬にしてあげられる、最大で、そして最高の贈り物ではないでしょうか。
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なんさいがーでんの看板猫

そら
看板猫兼店長
なんさいがーでんの看板猫兼店長をしている「そら」。
店長を任され早3年、大切なペットとのお別れをしに来られた飼い主様の心の拠り所になっている。
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